社会的な地位が高く収入が多いイメージのある会社役員ですが、実は住宅ローンが通りにくい一面もあります。それは、一般的な会社員より安定性が低いと判断されることが多いためです。そんな会社役員が住宅ローン審査で注意すべきケースや対策について紹介します。住宅ローンに申し込む前にチェックして、事前に準備しておきましょう。会社役員の住宅ローン審査が通りにくいといわれる理由会社役員が住宅ローン審査に通りにくいといわれる理由は、主に2つあります。日本国内の法人数が減少中であることと、会社役員は会社員よりも収入が不安定な一面があることです。ひとつずつ理由を紹介します。日本国内の法人数は減少中中小企業庁によると、日本国内の法人は2016年から2021年にかけて年間4万社以上減少しているといわれています。つまり、それだけ倒産するリスクが高いということです。住宅ローンは長期的な返済が必要になりますので、途中で経済状況が悪化し返済が滞る可能性がある会社役員は借りづらくなっています。特に中小企業の役員の場合は、より厳しい状況に置かれているといえるでしょう。経営状況が良い企業の人でも住宅ローンの審査が通らないケースも少なくないため、家の購入を検討する際は事前の準備が大切です。会社役員は会社員よりも不安定会社役員は高収入である一方、何か問題が起これば責任を取らされ即解任される危険性もある立場です。つまり、会社員より収入が不安定になるため、住宅ローンの審査が通りにくい一面を持っています。上場企業の役員であれば退職金や再雇用が期待できますが、中小企業はそうもいきません。そうした信用の低さが原因となり、厳しく審査されるうえ否決される可能性も高くなっています。会社役員の住宅ローン審査で注意すべきケース会社役員の住宅ローン審査で注意するべき以下の3つのケースについて解説します。両親が会社役員の会社で働いている場合雇われ社長・役員の場合赤字の会社の会社役員である場合立場によって提出が必要な書類が異なることもありますので、状況を把握して対策することがおすすめです。両親が会社役員の会社で働いている場合自分が役員ではなく両親がその立場の企業で働いている場合は、同族企業に勤務していると判断されます。同族企業に勤めている場合は、住宅ローンの審査基準が役員と同じくらい厳しくなるので注意が必要です。今は一般社員だったとしても将来的に役員の立場になる可能性が高いため、金融機関の住宅ローン審査は慎重になる傾向があります。両親が会社役員の会社で働いている場合は会社の決算書の提出を求められることがあるので、事前の対策がおすすめです。雇われ社長・役員の場合中小企業で働いている人の中には、経営に参加する権利はなくても取締役の肩書きを持っている人もいます。そうした雇われ社長や役員の立場の人でも住宅ローン審査では肩書どおりの扱いとなり、慎重な審査が行われるようです。肩書きだけあってもさまざまな義務や解任されるリスクがあるため、住宅ローン審査が通りにくい傾向にあります。赤字の会社の会社役員である場合どの規模の赤字なのかによって審査結果は変わるとはいえ、赤字があれば住宅ローン審査が通りにくいことは間違いありません。特に数年単位で赤字が続いている場合は、審査が通らない可能性が高いと考えるべきです。また、節税のために損益処理を行っている場合でも、住宅ローン審査をする金融機関が考慮してくれる可能性は低い傾向にあります。金融機関の配慮に期待するのではなく、住宅ローン審査をクリアできるよう計画的に準備しておくことが大切です。会社役員の住宅ローンの審査対策会社役員におすすめしたい住宅ローンの審査対策は以下の3つです。会社の業績が良い時期に住宅を購入する頭金・自己資金を用意する返済期間を短くするひとつずつ解説しますので、ポイントをチェックして必要な対策をしておきましょう。会社の業績が良い時期に住宅を購入する会社の業績が常に一定であることは少なく、多少なりとも上下するものです。業績が下がっているときに審査に住宅ローンの審査に申し込むと、実際より業績が悪いと判断される可能性もあります。住宅ローンは長期的な返済が必要となるため、会社の業績が安定していることが大切です。しかし、現実的に考えると常に業績を安定させることは難しいので、少しでも良いタイミングで申し込むことをおすすめします。頭金・自己資金を用意する大企業と比べると倒産リスクが高い中小企業の役員は、金融機関からの信頼度を上げるのが困難な場合が多いといわれています。そのため、無理に高額な借り入れを申し込むのではなく、充分な頭金や自己資金を用意して住宅ローンに申し込むこともおすすめです。このとき、物件価格の20%以上の金額を用意しておくと審査に通りやすくなる可能性があります。会社員と比較すると、役員は半額程度の金額しか借り入れできないこともありますので、日頃からしっかり貯蓄しておくことが大切です。返済期間を短くする返済期間は20年以内に設定して申し込むことがおすすめです。役員の場合は経営状況が変わり返済できなくなるリスクが高いため、できるだけ返済期間を短くして申し込むと良いといわれています。住宅ローンの返済期間を短くすると審査が通りやすくなるのは、中小企業だけでなく大企業の役員の場合でも同様です。会社役員の住宅ローン審査時の必要書類会社役員は住宅ローン審査を受ける際に以下の書類が必要になります。会社決算書のコピー(直近3期分)源泉徴収票のコピー (直近3期分)本人確認書類のコピー (おもて・うら)健康保険証のコピー (おもて・うら)認め印物件情報会社役員は、一般的な会社員と比べてもより多くの書類の種類を用意しなければなりません。とくに、会社決算書のコピーと源泉徴収票のコピーは、3期分が必要になるので気を付けましょう。【まとめ】会社役員が住宅ローンに申し込むなら事前の対策が大切会社役員の人が住宅ローンに申し込むと、審査が通らないことも少なくありません。経営が安定しづらい中小企業の人は特にその傾向が高いといわれています。住宅ローン審査に申し込むなら、会社の業績が良いタイミングや返済期間の調整をして通りやすくなるよう対策することが大切です。役員だからこその注意点も踏まえたうえで、住宅ローンの審査に申し込みましょう。