日本の不動産は、外国人であっても日本人と同様に購入することが可能です。購入や所有には、日本人と同じ税金が適用され、外国人であるからといって特別な支払いはありません。ただし、住宅ローン契約においては注意が必要です。多くの金融機関が、外国人に一定の条件を示し、住宅ローンを組むまでのハードルが日本人よりも高くなっている状態です。本記事では、外国人は住宅ローンを組めるのか?また、組む際の注意点はどんなものなのか?などの疑問を解決しています。外国人は日本で住宅ローンを組める?日本の金融機関では外国人も住宅ローンを組むことが可能です。しかし、多くの金融機関は返済リスクを考え、いくつかの条件を提示しています。永住許可があるか、ないかによっても審査内容は変わりますので、次の項目で確認していきましょう。永住許可のある外国人の住宅ローン審査永住許可がある場合は日本人同様に住宅ローンを借りることが可能です。一般的な審査では以下の5点が確認されます。返済能力まず、借入金額が返済可能であるかを金融機関は確認します。その目安として用いられるのが返済負担率です。割合が高くなるほど滞納の確率が高いと判断され、審査に通りにくくなってしまいます。勤続年数多くの金融機関が設けているのが「勤続年数が2年以上」の条件です。勤続年数は長いほど有利とされ、短いと融資を断られるケースもあります。必要年数は金融機関により異なりますのでご確認ください。完済時の年齢借入時と完済時の年齢に制限が設けられており、それぞれの年齢を超える場合は借り入れができません。健康状態ほとんどの金融機関で必須とされているのが団体信用生命保険(団信)への加入です。団信に加入するためには、告知書で健康状態を報告する必要があります。病気等のリスクがある場合は、団信に加入できません。住宅ローン契約が難しくなる可能性も出てくるでしょう。個人信用情報個人信用情報とは、クレジットカードやローンに関する個人の取引実績を記録したものです。金融機関は内容の照会ができるため、借主の信用を判断する資料として使用します。クレジットカードの支払い遅延などがあった場合は、審査に落とされる可能性が高くなりますのでご注意ください。永住許可のない外国人の住宅ローン審査永住許可がない外国人は、永住許可がある場合に加え、より厳しい審査基準が設けられます。以下の5点をご覧ください。居住年数金融機関により「3年以上」または「5年以上」など、一定の居住年数が必要になる場合があります。住み始めてまだ数か月という人は、住宅ローン審査そのものができない可能性もありますので、ご注意ください。居住期間はできるだけ長い方が、審査では有利です。証明書類永住許可がない代わりに、身分確認や収入を証明するための書類をより細かく審査されます。例として、在留カード、特別永住者証明書、納税証明書などの準備が必要です。金融機関によって異なりますのでご確認ください。日本人あるいは永住権を取得している配偶者の有無住宅ローンを借りる際、日本人、あるいは永住権を取得している配偶者が連帯保証人になることを条件としている金融機関があります。したがって、本人だけでなく連帯保証人の返済能力も審査に含まれることも覚えておきましょう。日本語の理解力一部では外国語での接客を実施している金融機関もありますが、ほとんどの場合、住宅ローンの手続きは日本語で行われます。契約内容が理解できない場合は、融資を断られてしまう可能性もあるでしょう。住宅ローン契約は重要事項の説明が多くあるため、内容を理解できない人との契約はできません。帰国する可能性住宅ローンは10年、20年と長くなることが予想されます。しかし、外国人の場合、様々な事情により帰国する可能性も出てくるかもしれません。海外では日本の法律が適用されないため、住宅ローンの返済期間内に帰国されてしまうと、残債の回収があった場合に手間がかかってしまいます。その防止対策として、事前に意思確認が必要です。外国人でも、各金融機関の申込条件や審査基準を満たせば、住宅ローンを契約できます。審査内容は多少厳しくなりますが、金融機関ごとのルールを把握して、準備を進めましょう。外国人の住宅ローン審査には永住権が重要金融機関では永住権を持っていることが、住宅ローンを契約するうえで有利となります。住宅ローンの申込要件に「永住許可を有すること」とある場合が多く、永住権の所有は適した判断材料になるからです。また、住宅ローンは数千万円という大きな金額を借りる可能性があるため、返済期間も長期にわたることでしょう。永住権がない外国人の場合、途中でビザが切れて帰国せざるを得なくなるなど、金融機関側の負うリスクが高くなります。これらの理由から、金融機関は永住権の存在を重要視するのです。さらに、永住権がある場合は、日本人と同じ基準で住宅ローン審査が受けられます。「いつまで住み続けるか」を追加で確認されるかもしれませんが、返済能力や勤続年数など審査内容に変わりはありません。一般的には「永住権の取得」が住宅ローン契約の条件になっていますが、金融機関によっては「永住権なし」でも住宅ローンの借り入れができるケースもあります。幅広く比較してみることで、ご自身の選択肢も増えるでしょう。外国人が日本で住宅ローンを組むときの注意点ここからは、外国人が住宅ローンを組むときの注意点をご紹介します。住宅ローンの引き落としに使用できるのは普通口座のみ住宅ローンの引き落としは、基本的に借入する金融機関の口座を利用します。住宅ローンは契約者名義の普通口座から引き落とされるため、口座を持っていない場合は新たに作成が必要です。ただし、在留期間が6か月未満の人は「非居住者」とみなされ、法律により、普通口座を作れません。加えて、口座を作るには仕事や留学を目的とした在留が大前提となります。滞在期間が3か月以上6か月未満の人は、「非居住者円預金」という別の口座を開設できますが、一般的に利用できるのは預金のみです。海外送金やATMの利用、住宅ローンに必要な口座引き落としもできませんのでご注意ください。口座開設時の本人確認書類でパスポートは使えない2020年2月4日以降に発行されたパスポートについては法律上、住所確認書類としての効力がなくなりました。住所が記載されていた「所持人記入欄」が削除され、現住所の確認ができなくなったためです。2020年2月3日以前に発行され、所持人記入欄がある有効期限内のパスポートについては、引き続き、本人確認書類として利用できます。【まとめ】外国人は永住許可に関わらず住宅ローンの契約が可能永住許可がない外国人でも、住宅ローンを組める可能性はあります。ただし、永住許可があった方が、融資を受けられる金融機関も多くなり、借入条件も良くなる傾向にあります。審査基準の違いや、各金融機関の条件を理解したうえで、住宅ローンのご検討をおすすめします。