外国人が日本の土地や建物を購入した場合、日本人同様に税金を支払う義務があります。本人の居住地に関わらず、不動産契約には必ず発生する費用です。また、税金には購入時に発生するものだけでなく、不動産を所有する限り支払い続けるものもあります。海外に居住されている方にとっては、支払い方法も気になるところでしょう。今回は不動産取得にかかる税金をご紹介しながら、海外居住の方へ、納税方法についてもお伝えします。外国人が土地購入した場合にかかる税金外国人が日本で土地を購入する際には、日本人と同じ税金が発生します。ここでは、不動産購入時にかかる税金を確認していきましょう。印紙税印紙税は、契約書や領収書など「文書」に関連する税金です。不動産契約においては、主に以下の契約書が納税対象となります。不動産売買契約書建築工事請負契約書金銭消費貸借契約書税額は物件購入価格や工事費用によって決定します。支払いには収入印紙が用いられ、貼り付けた後に印鑑を押し、納付が完了です。外国人の方で印鑑がない場合は、サインでも問題ありません。一般的に、不動産仲介会社が契約の際に収入印紙を用意します。収入印紙代は、不動産仲介会社に支払うことになるでしょう。また、印紙税には軽減措置があります。「不動産売買契約書」については契約金額が10万円を超えるもの、「建設工事請負契約書」については契約金が100万円を超えるものが対象です。2027年3月31日までに作成された契約書に限ります。なお、電子契約を用いた場合は、文書の作成に該当しないため印紙税が不要です。不動産取得税不動産取得税は、土地や建物を購入した際にかかる税金です。取得後、半年〜1年くらいの間に納税通知書が送られてきます。不動産取得税は購入した不動産の固定資産評価額に、税率をかけたもので算出されます。固定資産評価額とは市町村(東京は23区)など、各自治体が決める公的な金額です。この評価額は購入金額よりも低いのが通常で、土地の場合は時価の7割程度、建物の場合は5〜6割程度が目安とされています。不動産取得税の税率は原則4%ですが、2027年3月31日まで軽減措置が受けられ、土地、建物ともに税率が3%です。さらに、2027年3月31日までに取得した土地については、評価額を2分の1とする特例もあります。登録免許税土地や建物を登記する際に発生するのが、登録免許税です。税額は、土地や建物の固定資産評価額(以下、評価額)に決められた税率を乗じて算出します。登録免許税にはいくつか種類があり、建物や土地など、登記の種類によって異なる税率です。また、登録免許税は住宅ローンも課税の対象です。金融機関は買主の返済が滞った場合、不動産を競売にかけて貸したお金を回収します。それを行うには抵当権の登記が必要となるからです。抵当権の登記にかかる登録免許税は、住宅ローンの借入額に税率を乗じて算出します。そして、登録免許税も軽減措置の活用が可能です。築年数や広さに条件がありますが、土地は2026年3月31日まで、建物と抵当権は2027年3月31日までが適用期間となります。以下の表でご確認ください。登記の内容原則軽減措置後所有権移転登記(土地)評価額×2.0%評価額×1.5%所有権保存登記(住宅用新築家屋)評価額×0.4%評価額×0.15%所有権移転登記(住宅用中古家屋)評価額×2.0%評価額×0.3%抵当権設定登記(住宅ローン)借入金額×0.4%評価額×0.1%外国人が土地購入した後に毎年支払う必要のある税金不動産を所有している限り、毎年支払いが生じる税金があります。主な3つを見ていきましょう。固定資産税固定資産税とは、毎年1月1日時点で、土地や住宅を所有する人が納付する税金です。主に道路、水道などインフラ整備に使用されます。支払い義務が生じるのは日本、海外と居住地を問わず、すべての不動産所有者です。税額は一律ではなく、不動産ごとの評価額によって金額が変わります。また、不動産購入をした年の固定資産税は、1月1日時点での所有者が納税しているため、日割り計算して売主に相当額を支払わなければいけません。その後の納税方法は、各自治体から送られてくる納税通知書を使いますが、海外にいる外国人は納税管理人を通すことで税金の納付が可能となります。所得税所得税は利益に対して課税される税金です。不動産を貸して賃貸収入を得たり、不動産を売却して譲渡所得が発生する場合に支払い義務が生じます。不動産を所有しているだけでしたら、課税されません。日日本国内に居住する外国人は、国内・海外を問わずすべての所得が課税対象です。海外に居住する外国人は、日本で発生した所得だけに課税されます。また、賃料所得がある場合の所得税は、日本在住の外国人は日本人と同様です。海外在住の外国人については賃借人が賃料支払いの際に、源泉徴収(20.42%)が必要となるケースがあります。住民税住民税は国籍、居住地に関わらず、毎年1月1日時点の住所地で、前年の所得が一定額あった人に課税される税金です。住民税は「均等割」と「所得割」を合算したもので成り立ち、内容はそれぞれ異なります。均等割は前年の所得にかかわらず、一定の所得がある人全員が均等に負担する税金です。それに対して所得割は、前年の所得金額に応じて負担する税金となります。日本に居住している外国人は日本人同様、所得に応じて住民税の納税が必要です。海外にいる外国人は1月1日時点で日本にいないため、毎年1月1日に日本に住所がある者に課税される所得割は課税されません。均等割に関しては、居住用の家を所有している場合に課税されることがあります。海外居住の外国人が土地購入する場合は納税管理人が必要納税管理人とは買主が日本にいない場合に、税金の申告や納税の手続きを本人に代わって行う人物です。日本での土地購入には、固定資産税など、所有している限り支払い続ける税金があります。海外にいる人にとっては納税管理人の存在が必須となるでしょう。選任は親族や信頼できる知人でも構いませんが、申告書類の作成等、不安がある場合は、税理士など資格を持っている人物をおすすめします。【まとめ】外国人の不動産購入には日本人同様の納税が必要外国人が日本で土地購入することで、所有し続けるには様々な税金が発生することが分かりました。いつ、どんなときに税金がかかるのかを理解しながら、購入計画を進めることが大切です。また、海外に居住している外国人は納税管理人の決定も検討しておきましょう。契約までの流れをシミュレーションすることで、不安のない不動産購入を行えるはずです。