「リノベーションまでしたのに、マンションが売れない……!」築年数が古いマンションの見た目を良くし、購買意欲を上げるための手段としてリノベーションは効果的です。しかしリノベーションマンションはリノベーションの分費用がかかっているため、なかなか売れないと「このまま売れなかったらどうしよう」と焦ってしまいがちです。本記事ではリノベーションマンションをスムーズに売却するために行うべき対策について解説します。売れないのはリノベーション以外にある落とし穴が原因リノベーションマンションが売れないと「リノベーションしたのがいけないのか」と考えてしまいますが、それ以外の理由から売れにくくなっている可能性もあります。まずはリノベーション以外の部分に原因がないかチェックしてみましょう。立地が悪いリノベーションの有無に関わらず、立地が悪い中古マンションは「古い+不便」なため訴求しにくく、売れにくくなります。立地条件は不動産の魅力を左右する大きな要素です。「駅から15分以上」「坂がある」「バス便利用の必要がある」などの条件に当てはまると、かなり需要が少なくなってしまいます。また、立地の良し悪しには周辺環境も含まれます。スーパー・コンビニまで遠い物件やファミリータイプの場合には学校が遠い物件なども購入希望者が少なくなってしまうでしょう。築年数が古すぎる中古マンションで部屋がきれいにリフォームされていても、築年数が古すぎると「部屋はきれいだけれど、建物の古さが心配」となってしまい、購入に二の足を踏んでしまう人が増えてきます。実際、国土交通省の「令和4年度 住宅動向調査報告書」でも、中古マンションを検討しながら最終的に新築マンションを取得した世帯のアンケートでは3位に「隠れた不具合が心配」、5位に「給排水管などの設備の老朽化が懸念」が入っています。国土交通省の「大規模修繕の手引き」によると、給排水管は19〜23年で修繕、30〜40年で取り替えが周期の目安です。築20年を超えると内部だけでなく外観にも劣化が表れてくるため、これから長く住むことを考えている人は購入をためらうかもしれません。共有部分がメンテナンスされていない特に中古マンションでは、建物の状態はメンテナンスや修繕によって大きく差が出てきます。「マンションが売れない」というと部屋に着目してしまいがちですが、エントランスや階段、ゴミ置き場など共有スペースの汚れや散らかりが「管理状態が悪い」という印象を与えてしまい購入を見送られているかもしれません。また設備や外壁が破損・故障していて直されていないような状態だと、適切な修繕がなされていないのではないかと疑念を持たれて購入に繋がらない可能性もあるでしょう。リノベーションマンションが売れない時にすべき対策リノベーション以外にマンションが売れない原因があったとしても、立地や築年数は自分でどうにかできるものではありません。次に、リノベーションマンションが売れないときに今からでもできる対策について解説します。売却価格を見直す「東京カンテイ」のプレスリリースによると、中古マンションの売り出しから成約までの平均期間は2022(令和4)年上期は3.11ヶ月、2022(令和4)年下期は3.22ヶ月となっています。3ヶ月以内に売却できる目途が付かない場合には、売却価格の見直しを検討するべきです。ただし早く売却したい不動産会社から値下げを勧められ、焦りから本来希望している価格からだいぶ安い値段で売却してしまい、住み替え用の住宅取得資金やローン返済に影響が出るケースも起こりがちです。見直す際には、内見数と購入希望者数、周辺の競合となる物件数も考慮したうえで決める必要があります。しかしそもそも内見数が少ない場合にはマンションを探している人にとって物件や価格が魅力的に映っていない可能性が高いため、売却価格を見直したほうがよいでしょう。売却を急いでいないなら、不動産の需要が高まるような時期に値下げをして周辺物件に対する競争力を付けるのも選択肢のひとつです。媒介契約を見直す不動産の売却を行う際に依頼する不動産会社との間に締結する媒介契約には、以下の3種類があります。複数社に売却の仲介を依頼できる「一般媒介契約」1社にしか売却の仲介を依頼できない「専任媒介契約」1社にしか売却の仲介を依頼できないうえに、自己発見取引(売主が自分で直接買主を見つける)も禁止の「専属専任媒介契約」このなかで専属専任媒介契約や専任媒介契約は自社で買主を見つけられれば手数料が売主・買主両方からもらえるため、販売活動に積極的になってくれる可能性が高いです。しかし「営業力が不足している」「仲介している物件数が多く十分な営業活動ができていない」「自社で買主を見つけたいために他社に情報を流したがらない」といった場合には、なかなか買い手が見つからない可能性があります。媒介契約の期限は最長で3ヶ月です。3ヶ月に近付いても売却の目途が立たないようなら、期限が切れ次第媒介契約を結ぶ不動産会社を変更するか、専任媒介契約・専属専任媒介契約から一般媒介契約に変更して複数の会社に依頼することも検討しましょう。リノベーションマンションの売却を成功させるためには?売り出しから売却まで時間がかかると「あの物件ずっと掲載されているな」と敬遠されやすくなるだけでなく、内見者も減ってしまうためますます売れにくくなってしまいます。リノベーションマンションをスムーズに売却するために行っておきたい2つのポイントについて押さえておきましょう。早めに売却活動を行う不動産には需要が高まる時期があるため、売却を決定したら早めに売却活動を始めることでタイミングを逃さずに売り出せます。国土交通省の「令和5年度 住宅経済関連データ」によると首都圏のマンションでは1〜3月が最も成約件数が多く、10〜12月も意外に需要が高いことがわかります。(引用:国土交通省 令和5年度 住宅経済関連データ 指定流通機構における成約物件の動向(首都圏)マンション)マンションの売却には3ヶ月以上かかることが多いため、売りたい時期が決まっている場合に急いで売ると価格を大きく下げないと売却できないかもしれません。需要が高くなる時期の前に売り出せるように、余裕をもって売却活動を始めれば競合物件や売却相場もじっくり調べられるため希望に近い金額で売却できる可能性が高くなります。ハウスクリーニングをする自分が住む分には気にならなくても、ローンを組んでこれから住むための家を買う人にとってはマンションの清潔感は購買意欲にも影響します。先述した国土交通省の「令和4年度 住宅動向調査報告書」でも、14.9%の人が「見た目が汚いなど不満」という理由で中古マンションの購入を取りやめています。特にすでにリノベーションが行われているマンションでは、床や壁、設備などに汚れがあるとそのまま住むことになります。汚れが目立ちやすい水回りを中心に、プロのハウスクリーニングを利用し清潔な状態を見せることで管理状態の良さが伝わり内見者に良い印象を与えられます。また売却物件が既に空き家の場合には、ハウスクリーニングと合わせて家具や小物で室内を演出する「ホームステージング」の利用も合わせて行うとリノベーションマンションの魅力がいっそう引き立ち効果的です。【まとめ】リノベーションマンションが売れない原因を見極めて適切な対応をしようリノベーションマンションの売却がなかなかうまくいかない場合、リノベーション以外にも物件の内外にさまざまな要因が考えられます。売れない原因を見極めて、必要に応じて価格や媒介契約の見直しなどを行いましょう。また、これからリノベーションマンションの売却を考えている場合には、需要が上がるタイミングに合わせて販売活動が行えるように余裕をもって早めに売却活動を始めるのがおすすめです。相場や市場動向を考慮し、売却物件が魅力的に映るように柔軟に対策を行いましょう。