首都圏を中心としたマンション価格の高騰により、1億円を超える物件が多く見られるようになりました。立地や部屋の広さなど、理想を並べだしたらあっという間に価格がはねあがる時代です。本記事では1億円以上の住宅ローンをご検討中の方へ、必要年収や返済額の実例をご紹介しています。住宅ローンを組む際の審査基準についても解説していますので、ぜひご覧ください。1億円以上の住宅ローンを組む人が増加している近年では、1億円以上のローンを組む人が増加傾向にあります。最大の要因はマンションの価格上昇ではないでしょうか?不動産経済研究所のデータによると、2023年3月の首都圏の新築分譲マンションの平均価格は14,360万円と発表されました。その影響からか、新築だけでなく中古マンションでも東京を中心に売買価格が1億円を超える物件を多く目にします。また、住宅ローンの借入限度額にも変化がありました。以前は限度額1億円以下の商品が主流だったのに対し、最近では上限2億円や上限5億円といった金融機関も見られます。主要銀行だけでなく、ネット銀行でも取引が可能になり、需要の多さが伺えます。このように、物件価格の上昇や借入限度額の移行にともない、1億円以上のローンを組む人が増加したのでしょう。1億円以上の住宅ローンを組むのに必要な年収は?1億円の住宅ローンを組める年収は1500万円前後が目安です。借入限度額を「年収の約6倍〜7倍」と設定している金融機関が多いことから、この金額が算出されました。1億円以上の住宅ローンには以下の年収が目安となります。借入金額必要な年収1億円1,430万円~1,670万円1.5億円2,140万円~2,500万円2億円2,860万円~3,330万円ひとつ注意したいのは、これが金融機関から「借りられる限度額」という点です。借りられたのは良いものの、返済できなければ意味がありません。住宅ローンを組む際は、実際に返済可能な金額を設定しなければいけません。頭金の有無や、金利、返済期間によっても変わりますので、条件を加味しながら決定しましょう。【1億円の家を購入した場合】住宅ローンの月々の返済額1億円の住宅ローンの返済額は、金利によって大きな差が発生します。ここでは2つの金利パターンでシミュレーションしました。金利が0.5%の場合の住宅ローンの返済額例1億円の住宅ローンを金利0.5%で組んだ場合の返済額は以下の通りです。固定金利:0.5%返済期間:35年元利均等返済借入額1億円月々の返済額259,585円年間返済額3,115,020円総返済額109,025,661円月々約26万円の返済という結果がでました。利息が約900万円発生します。金利が1.5%の場合の住宅ローンの返済額例つぎに、金利を1.5%で算出したものを見ていきましょう。固定金利:1.5%返済期間:35年元利均等返済借入額月々の返済額年間返済額総返済額1億円306,184円3,674,208円128,597,261円金利が1.5%に上昇することで、月々の支払いが30万円を超えました。利息については、約2850万の負担となり、金利0.5%の利息とは約1900万円の違いがあります。このように、住宅ローンは金利によって、総返済額に大きな差が生じます。事前にシミュレーションをしたうえで、余裕のある返済計画をたてましょう。1億円以上の住宅ローンが組める審査基準とは?住宅ローンの金額が大きくなるほど、金融機関の審査基準は厳しくなります。一体どのように審査されているのでしょうか?ここでは住宅ローンが決定するまでの過程をまとめています。金融機関が定める5つの指標住宅ローンの借入可能額を決める際に、金融機関が定める指標がいくつかあります。主なポイントは次の5つです。(1)返済負担率返済負担率とは、「年間返済額が年収に対してどのくらいの割合を占めているか」を表す指標です。数字が低いほど、安定した支払いが可能と判断されます。審査基準は、年収や金融機関ごとに異なりますが、無理のない返済負担率は「25%以下」が目安です。先ほどの計算では、金利1.5%で1億円の借り入れをした場合の年間返済額は約360万円でした。これを年収1,500万円に当てはめると、返済負担率は24%です。この数字が大きいと、借入額を減額されたり、審査に落ちてしまったりという可能性がでてきます。(2)融資率融資率とは「購入する住宅価格に対する借入金の割合」です。例えば、1億円の物件で頭金を入れずに、すべてローンで賄った場合は融資率が100%となります。フルローンでの物件購入も可能ですが、金融機関や借入額によっては金利が高くなってしまう場合がありますので気をつけましょう。(3)借入限度額借入限度額とは、金融機関が独自に定めた融資の上限額のことです。契約者の年収や返済負担率などに関係なく定められています。上限額は金融機関ごとに設定されており、財形住宅融資では4,000万円、フラット35では8,000万円です。民間の金融機関では1億円程度と設定されていますが、最近では上限額が1億円を超える商品もあります。高額の住宅ローンを組む場合は、事前に上限額の確認が必要です。(4)担保価値担保価値とは、購入する物件の価値を表します。もし、わたしたちが住宅ローンを支払えなくなった場合、金融機関は担保物件を売却して債権を回収します。万が一に備え、物件価値を知ることも、金融機関にとっては重要なポイントとなるのです。(5)職種や雇用形態住宅ローンを返済していくうえで、求められるのが「安定した返済」です。勤め先、年収、勤続年数などが考慮されます。安定性のある公務員や、年収の多い大手企業にお勤めの方は審査が通りやすい反面、不安定な給料体制の方は借入額を減らされてしまう場合もあります。住宅ローンで利用される「審査金利」審査金利とは金融機関が住宅ローン審査をする際に、借入限度額の計算に使用する金利です。実際に適用される金利よりも高く設定され、一般的には3%〜4%とも言われています。金融機関が審査金利を設けて厳しく判断する理由は、返済力を考慮し、無理な借り入れをなくすためです。仮に変動金利を選択した場合、途中で金利が上昇する可能性もあります。金融機関側は返済に余裕を持たせて審査をするのです。審査金利を用いたことで、当初のシミュレーションとは状況が変わり、ローンが組めない方も出てくるでしょう。しかし、すべての金融機関で審査金利を用いている訳ではありません。それぞれ審査方法が異なります。いくつかの金融機関を比較しながら、条件に合った住宅ローンを選択しましょう。1億円以上の住宅ローンに関するよくある質問最後に、1億円以上の住宅ローンに関する代表的な質問をまとめました。ローンを計画する際に参考にしてみてください。35年ローンは何歳まで組める?借り入れの年齢の条件は、金融機関によっても異なります。ただ、多くの金融機関が、完済時の年齢を80歳未満とする条件を設けています。35年ローンを検討している方は、遅くても40歳までにはローン申請ができると安心です。1億円以上のローンを組んでも団体信用生命保険はかけられる?以前、団体信用生命保険でかけられたのは最大1億円でした。しかし昨今では、1億円以上の借入が増えていることから、複数の団体信用生命保険をかけられたり、1億円以上の借入金額でも加入できたりする場合も増えています。住宅ローンを組む際は併せて団体信用生命保険の状況も確認しておきましょう。【まとめ】1億円以上の住宅ローンは事前にシミュレーションを今回は、1億円以上の住宅ローンについて解説しました。必要年収は約1500万円と算出されましたが、あくまでも目安となります。金融機関によって条件も変わりますので、シミュレーションをいくつか行ってみてください。住宅ローンは人生とともに長い付き合いになります。ご自身のライフプランと合わせてご検討ください。