不動産購入する際、まず売主に「買い付け申込書」を提出するのが一般的です。しかし、何をどう書くべきなのかと、内容や記載方法に不安を抱える方も多いかもしれません。この記事では、買い付け申込書の作成方法や、記入についての注意点などをまとめています。提出することでのメリットもありますので、物件購入をご検討中の方はぜひご覧ください。買い付け申込書とは買い付け申込書とは売主に、不動産を購入する意思があることを証明するためのものです。「とりあえず欲しい」という軽い気持ちではなく「どうしても購入したい」という強い意思がある場合に提出します。「購入申込書」や「買い付け証明書」と呼ばれることもありますが、意味としては同じです。また、買い付け申込書には法的拘束力がないことも覚えておきましょう。売買契約をスタートさせるための重要な書類ですが、提出したからといって購入が決まるわけではありません。購入価格の決定については、重要なものとなりますので、事前にどんな内容なのかを確認しておくことが大切です。買い付け申込書を作成するメリットここでは、買い付け申込書を作成するメリットをご紹介します。書面にすることで、売主にも購入意欲が伝わり、希望物件にも手が届きやすくなるでしょう。気に入った物件を購入できる可能性がある買い付け申込書を作成することで、人気物件を購入できる可能性が大きくなります。通常、売主は買い付け申込書の提出順に対応するといわれていますが、必ずしもそうではありません。理想の物件を見つけた際、買い付け申込書の提出が多少遅れても大丈夫です。一番大切なのは「自分は確実に購入する」というアピールになります。書面できちんと伝えることで、売主の目にもとまり、正式な契約に近づけるかもしれません。また、ご自身の希望額は正確に記入することをおすすめします。物件が欲しいあまりに、無理な金額を書いたところで、購入できたとしても支払いが難しくなるリスクがあります。内見して、自分が思ったままの希望額を伝えましょう。無理かな、と感じる希望価格でも、思いもよらず契約に進める場合もあります。値下げ情報を優先的に送ってもらえる可能性がある売り出したばかりの物件は、売主も強気な姿勢です。早い段階で、ご自身の希望額を入れて買い付け申込書を提出しても、契約に進みにくいかもしれません。しかし、売り出した物件が数ヶ月たってもそのままだとしたらどうでしょう?当初は値下げを拒んでいた売主も、時間の経過により、条件を変えるはずです。そんなときに、買い付け申込書を提出していると、連絡がもらいやすくなります。売主にとっては、新たな営業をかけるよりも、はるかに効率が良いからです。このように、買い付け申込書を出しておくことで、予期せず値下げ情報を得られる可能性もあります。売主との交渉がスムーズになる売主は、買い付け申込書を提出した買い手を「本気で購入を考えている人物」として扱います。買い付け申込書を出すことで売主との距離も近くなり、当初よりもコミュニケーションが取りやすい関係になるはずです。記載内容も重要ですが、お互い人間ですので、誠実な対応も大切な部分となります。メールや電話などのやりとりが増えることで、相手に対して安心感が生まれますよね。物件に対する情報交換もしやすくなるに違いありません。契約交渉もスムーズに行えるはずです。買い付け申込書を作成する際の注意点買い付け申込書を作成する際には、以下の3点をご確認ください。契約書のような法的拘束力がない混同されがちな書類に「不動産売買契約書」がありますが、これは売買契約を決定づける最終的なものであり、買い付け申込書とは別のものになります。買い付け申込書は「買いたいという意思を証明するもの」であり、法的な拘束力がない書類です。提出したからといって必ず購入できるわけではありませんし、購入しなければいけない、というルールもありません。有効期限がある買い付け証明書は有効期限にも注意が必要です。一般的に有効期限は、1週間~2週間となっており、最長でも約1ヶ月が目安となります。しかし、人気物件ともなると、売主は早めに契約者を決めたいはずです。有効期限を短く設定する場合もありますのでお気をつけください。さらに、物件購入時に住宅ローンを利用する方は、審査状況の報告が必要な場合もあります。時間を要するものがあれば事前に確認し、スケジュールを決めることが大切です。損害賠償責任を問われる可能性がある買い付け証明書に公的な効力がないといっても、理由もなく勝手にキャンセルするのはやめましょう。買い付け申込書を提出し、うまく交渉が進んだ場合、売主は契約締結に向けての作業に入っています。もちろん「購入してもらえる」と信じて、契約を進めている状況です。仮に、一方的な拒否をした場合、売主から損害賠償を請求されるかもしれません。私たちには「取引を開始した段階でお互いに損害を与えない」という義務があります。突然のキャンセルは、ご自身にリスクがともなうことを理解しておきましょう。買い付け申込書の作成方法買い付け申込書を作成する際に決まった書式はありません。内容は多少異なりますが、一般的に、不動産会社が用意してくれるひな形を利用して作成することになります。以下が主な記載内容です。購入希望額購入物件の基本情報(所在地や面積など)手付金(中間金)残代金自身の基本情報(年収や勤務先など)支払方法(融資の有無、金融機関名など)有効期限や引き渡し希望日まず、購入希望額はパンフレットにかかれているものでなく、ご自身が希望する金額を記入しましょう。ただ、本来の金額とまったく異なる金額を書いてしまうと、売主の気持ちも離れてしまいます。迷った場合は、不動産会社の担当者に相談するのが賢明です。手付金は、通常、売買契約締結時に支払うお金になります。最終的に購入代金の一部になるもので、金額は購入価格の5%〜10%が目安です。もし、買い手が購入をやめた場合は、タイミングにより返金されませんのでご注意ください。中間金は手付金同様、事前に支払うお金です。売主によってはない場合もあります。また、住宅ローンを利用する場合は、金融機関名の記入も必要です。借入可能額の欄がある場合は、ローンの仮審査で提示された金額を記入しましょう。尚、決まっていない方は「未定」との記入で大丈夫です。不動産会社ごとに作成方法は変わりますが、必要事項が埋められるように準備しておきましょう。【まとめ】買い付け申込書は不動産購入で重要な書類不動産購入において、買い付け申込書は重要な役割を果たすことが分かりました。単に、希望額を伝えるものではなく、売主との信頼関係を築くためのものでもあります。「購入したい」という気持ちが真摯に伝われば、気に入った物件を購入できるチャンスが生まれるはずです。重要性が高い書類ですので、記載内容は慎重に検討したうえで提出しましょう。